◆03. この憎しみはどうすれば

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◆03. この憎しみはどうすれば

「わぁ……素敵。色々な風車が、あるんですね」  おれがきみの父親なら、見知らぬおっさんの部屋になんか入ってっちゃ駄目だ、と注意したろうに。しかし……この子に危害を加える気が失せた。こんな警戒心のない顔で来られては。それに、まだ、いまは、そのときではない。  壁際には飾り棚を置き、そのうえに、風車をいくつも置いている――全部、愛里の作品だ。一緒に行った子供向け施設の工作教室で、風車の作り方を教えて貰ったきみは、それからもたくさんの風車を作り続けた……およそ百個以上。大作家だね、なんて笑いあったあの日々はもう、遠い。手の届かない場所にある。 「風車にこんなにも種類があるだなんて知りませんでした。……すごいですね。全部おじさんの作品ですか」  化粧っ気のない少女なんて久々に見た気がする。おれは答えた。「いや。……おれの一番大切なひとの作品だ」思えば、亡き妻は施設で育った女の子で……うちの両親に会わせたときは、最初は、渋い顔をしていた。結婚も、渋々了承……、という感じだった。  それが。
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