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「愛里……愛里なのか……!!」視界が、滲んだ。いま、本当に、愛里の声が、聞こえたのだ。「頼む……愛里……お父さんに、もう一度、声を聞かせておくれ……!!」
咆哮が響いた。自分のだ……と自覚するのは遅かった。
からん、とナイフの落ちる音がした。手元を見た。勿論そこには凶器はない。
入口から光が入る。その向こうにいる人影は――。
「愛里。……愛里ッ!!」力の限り、叫んだ。「父さんだ……父さんだよ! おまえの声を……姿を……もう一度見せてくれ……父さんにッ!!」
まばゆい光が増幅し、網膜に焼き付いた。あまりの眩しさに目を閉じ、開いた――その先には。
「愛里。……愛里ッ!?」
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