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「ほらほら、早く食べないと。お餅、固くなっちゃいますよ」
先生に促されるままに、座布団に座る。
せっかくなので、先生がどうしても食べたかったというずんだを選ぶ。嘘みたいに綺麗な黄緑色が、青い空に映える。シアン、マゼンタ、イエロー、それぞれ何パーセントくらいだろうか。自然にできた色を数値化してしまう作業は、なんだか不躾な気がする。
菫柄の茶碗に緑が入ると、花畑のように見えて可愛らしい。今まで随分長いこと、この茶碗を使ってきたが、花畑になったことはなかった。
まだ湯気の立つお餅を口に運ぶ。少し焦げた苦みの上に、ずんだの青くて甘い味が広がる。外はぱりぱり、中はもちもち。頬張る頬っぺたはほくほくだ。
「ずんだ、いいですね。先生」
いいでしょう、すみれさん、と先生は満足そうにしている。お餅を焼いていても、先生は高雅な雰囲気だった。相変わらず着物が似合う。庶民的な雰囲気ではなく、高貴な人のお遊びなのではないかと思うほどに。
「じゃーなー、すみれー。後は頼んだぞー」
もちもちとした頬っぺたに、お餅を詰め込んだ子どもたちは、午後早々に帰っていった。
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