蛇足鬼話

これまでのあらすじ

人々に害をなす鬼を退治するために青年は旅に出た。
道中、鬼への復讐に燃えるサル、イヌ、キジらと出会い仲間になる。四人で各地の鬼を殺してまわり、一行は鬼の首魁が住まう島へと上陸した。

そこは鬼の島だった。青年たちは大勢の鬼を手当たり次第に殺戮していった。
そびえ立つ城の天守での激闘の末、鬼の首魁を討ち取ることが出来たが、城攻めの最中にイヌとキジが命を落とした。

鬼退治を成しえた青年は故郷に帰還するものの、自身が鬼になってしまう。
両親をはじめ、人々から拒絶され、命を狙われることになる。居場所を追われた青年は各地をさまよった末に、鬼の首魁と戦った島へと戻って来ていた。

廃墟となった城で現実に絶望する青年のまえに、かつての自分が仲間たちと共に現れるようになる。島に上陸し鬼を殺してまわり、鬼の首魁に挑んだあの城攻めの日が、悪い夢のごとく毎日のように繰り返される。

青年は城の天守に陣取り、やって来る自分をその度に殺した。
鬼になった身体で、まだ人のままである自分を、幾度となく斬り殺した。

それは鬼退治のあとに待っている、残酷な現実から自身を救うための行いだった……。

「虚ろの城の桃太郎」
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