5人が本棚に入れています
本棚に追加
僕が彼女とのツーショット写真を表示させる横で、店主はベロア生地の小箱から緑色の宝石のついたチェーンを取り出した。これは、ペンデュラムと言うらしい。
二週間前、店主の示した場所で本当に指輪を見つけた。だから、あのオカルトめいた行為は何だったのか僕なりに調べてみたのだ。ネットには眉唾な情報が山のように転がっていた。店主の持っているものは、ペンデュラム、いわゆる振り子だ。そして行っているのは、ダウジングと呼ばれる手法。実際に、水脈や貴金属の鉱脈を探すときに用いられることもあるらしい。ただ科学的根拠は一切なく、占いや手品、無意識的な筋肉運動の一種とみられていると書かれていた。
店主は地図帳の上で、ペンデュラムをクルクルと回している。首をかしげて、「どうやらご自宅にはなさそうですね」と別のページをめくる。
「あの……これ、霊感か何かですか」
僕がおずおずとたずねると、店主はきっぱりと言った。
「あ、ただの勘です」
ただの勘。そんなもので商売をしているのか。しかも、その勘が当たってしまうなんて。
「これは、わたしの勘を増幅する装置みたいなもので。ううん、ここにも反応が無いなあ。もっと縮尺の小さなもので探してみましょうか」
別の地図帳を取り出し、ペンデュラムを垂らす。
最初のコメントを投稿しよう!