#あの日の約束

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「あれ、こちらの方に反応があるようですが。あれ、まだこっち」  ついには、隣県の地図帳を引っ張り出して、緑色の宝石を回し始めた。いくらなんでも、それはない。だって僕は今月に入って一度も県内を出ていない。だから僕が指輪を県外へ持ち出せるわけがない。百歩譲って、レンジフードへ無自覚で指輪を投げてしまった可能性はゼロではないかもしれない。が、これは物理的にありえない。 「ああ、ここですね。このお宅にあるようです」  振り子が勢いよく回って示している場所には……憶えがあった。 「いや、でも、そんなところにあるわけがない。だって五日前まで指輪は僕の手元にあったんですよ。そこには行っていない」 「ここはお知り合いのお宅ですか」  僕は弱々しくうなずいた。 「彼女の……実家です」  ※ ※ ※ ※ ※
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