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プロローグ
ひとけのない体育館に響き渡るのは、キュッキュッというバスケットシューズが床をこするスキール音とボールがゴールを揺らす音
奈緒は体育館の片隅に座り、バスケットボールひとつひとつ丁寧に磨き上げる
奈緒はボールを磨きながら時折、目線を上げてその音の方を見つめる
目線の先には真剣な眼差しでゴールだけを見つめ何度もバスケットボールを投げる男の姿
投げたボールはガコンっという音をたててゴールの淵にあたり、奈緒の元へ転がってきた
男は額から流れる汗を腕で拭い、ハァっと大きく息を吐いて乱れた呼吸を整える
『夏樹センパイ、タオルどうぞ』
そう言って奈緒は腕では拭いきれいほどの汗をかく夏樹の前にタオルを差し出した
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