月讀と月

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「…そもそも光はなんで、そんな事を企てたんだろ…」 一連の騒動を思い出し疑問を抱えながら、俺の能力“ホログラム”を開きカードを持ちデータを呼び起こす。 『…プログラム開始』 その声と同時に部屋が青白い空間、電子世界に包まれていく この世界はしがらみも無いし誰もいない、だから居心地がいい ずっとこの世界に隠れていたくなる衝動をおさえながら、シミュレーションを開始する。 誰1人傷つかないように、消えてしまわないように、何度も何度も擬似世界を構築していく どうせ皆消えてしまうのに。 傷付けたくないのに壊してしまう…そんな矛盾を振り払いながら最善策を練っていく。 …どれくらい時間がたったのだっただろう…いつの間にか現実世界では、眩しいくらいの日差しがカーテンの隙間から注ぎこまれ、意味を持たないアラームが部屋に鳴り響く 「…もうこんな時間」 何とか妥協点まで持っていき、安堵の表情を浮かべ電子世界をカードの中へ戻していく。 『…プログラム完了』
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