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ーーー仲良いな。2人で一つのアイスをシェアって……
「アオ?決まった?次だよ」
不意に声をかけられて蒼維は我に返った。
「あ、えっと……」
ーーーいやいや、そういうの外でしたことないし。
外では手も繋がないって言ったの俺じゃん、旅先だからって…そう思い直してメニューに目を落とす。
「紅いもと、あと」
奏の顔をちらっと横目に見ると、期待に溢れた物凄い眼圧で蒼維の方を見ていた。
「………ちんすこうを、ください……」
「あ、それとブルーオーシャンとシークワーサーソルベのダブルを一つお願いしまーす」
その横から奏が笑顔でスラスラと注文をする。
「は?ずるくない?自分だけやたらかっこいいのいくじゃん!」
会計を済ませながら蒼維は小声で奏に抗議した。
「はは、すごく俺に似合うと思わない?」
「いや言っとくけどカナ、お前の方がどっちかというとちんすこうっぽい雰囲気あるからな」
「ちんすこうっぽい雰囲気ってなん…」
「お待たせしました〜」
次の瞬間、オーダーしたアイスを反対に渡され、2人は受け取りながら目を見合わせた。
「……あっち行って食べよ。ほら行くよ、ちんすこう」
「ねえ(笑)俺の名前みたいに言わないでくれる?」
半笑いで海の方向に歩いていく蒼維に、奏は納得いかない表情で付いていく。
ーーー俺達も、あんな風にゼロ距離でも自然でいられるといいな。そのためにできることって、もう少し肩の力を抜くことなのかも。さっきのカナの運転じゃないけど。
「あっ俺の先に食べたな〜ブルーオーシャンめ」
奏のアイスをフライングで口に運びながら、蒼維は「あ、これさっきのゼロ距離男子が頼んでたのと同じやつだな」と思った。
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