第5話 一緒に朝食

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(いつも通りパンだけ……っていうのも、味気がないか)  そう思い、私はとりあえず昨日の残りのスープを温めることにした。……あとは、適当にベーコンか卵でも焼けば立派なモーニングの完成……になると、思いたい。  スープの入った鍋を火にかけ、ついでにフライパンでベーコンに火を通す。ベリンダは使い魔なので食事は必要ないけれど、本人の希望で食事は一緒に摂るようにしていた。私も、一人で摂るよりはマシだし。  ある程度ベーコンに火が通ったら、次に卵を落とす。じゅわぁといういい音を聞きながら、私は目玉焼きをてきぱきと作る。……こんな豪勢な朝食、久々かもしれない。 「えぇっと、こんなものでいいかな……」  プレートにベーコンと目玉焼きを並べ、表面を軽く焼いたロールパンを置く。あとはスープをカップに注げば、立派なモーニングの完成である。……多分。 「っていうか、朝から疲れた……」  共同生活を送るというのは、何と疲れるものなのだろうか。初日で疲れ果てていてどうするのだと言われそうだが、実際に疲れているものは仕方がない。  そんなことを思っていれば、アデラールが眠っている部屋の扉が開き、アデラール本人が顔を見せた。彼は何処となく眠そうに眼をこすっていたものの、朝食を見ると「……うわ」と声を上げた。 「悪いけれど、これが精いっぱいなのよ。お貴族様にとったら、質素かもしれないけれど」  嫌味たっぷりにそう言ってやれば、アデラールは「いや、そういう意味じゃない」と言いながらゆるゆると首を横に振り、席に腰を下ろす。なので、私は朝食をもって食事用のテーブルに移動した。  そして、ベリンダがやってきたのを見て私たちはどちらともなく食事を始めた。
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