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「碧、お前はこの公園で半グレ集団に襲われていた明日香を守って死んだんだ」
そうだ。あの日、私を助けるために大人数相手に碧は一人で……。
「そうだよ、俺は明日香を守って死んだんだよ。そんな俺が、あの時の約束を叶えてもらっても罰はあたらねぇだろ」
あの時の約束?
「明日香は、俺とずっと一緒にいるって、桜の木の下で約束したんだ。だから」
「だから、碧の死んだこの公園に月命日のたびに手を合わせにきていた明日香に取り憑いて殺したのか」
「殺すとか分かんねえよ。ただ、明日香を守らなきゃって。また、誰かに絡まれたら俺が守らなきゃって」
そう言いながら膝をついた碧の頬を涙が伝う。
「それでも、明日香の命を奪って、記憶を消したりするのはダメだろう。それに、ニヤタが明日香と碧を見つけた。どうやったのかは知らないけれど、猫の社会にも連絡網みたいなものがあるのかもな」
いつかの黒猫の姿が脳裏に浮かぶ。そっかあの猫がニヤタに私の存在を教えてくれたのか。
「ニヤタの姿を見てから、明日香の記憶が戻りそうになった。俺はどうしようかと思って、焦っていたよ。そんなタイミングで傍也が現れた」
「碧と明日香が死んだこの公園、二人の幽霊が出るって結構評判なんだよ。芝生が人型に枯れたり、笑い声が聞こえたりさ。碧、自分の手を見てみろ」
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