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「あはは、春臣さんってば冗談上手なんだから!」
「冗談じゃないけど」
「え?」
「冗談じゃないって言ったんだよ。今日は楽しもうね」
「あ……はい!」
冗談だと思ってあえて聞こえないふりしたのに言い直された。女慣れしてるっていうか、今までいなかったタイプだからびっくり。
春臣さん、ちょっと変わってるのかも。
「ワンピースかわいいね」
「ありがとうございます!友達と選びました」
ほら、さっきからずっと褒め言葉の嵐。恋愛経験ほとんどなくて舞い上がっちゃうからやめてほしい。
おかげで赤面しちゃって頬が熱を帯びてる。熱くて手で顔をパタパタ扇いだら春臣さんが顔を覗き込んできた。今度は何!?
「暑いね、結構待たせちゃった?」
「大丈夫です、それよりお腹空きました!」
「そっか、じゃあすぐ行こう」
この人、いちいち距離が近い。イケメンに耐性がないからほんと勘弁して欲しい。心拍数上がりっぱなしで倒れそう。
春臣さんはやっと私から視線を外して歩き出す。私は呼吸を整え、胸を押さえながらその後を追った。
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