309人が本棚に入れています
本棚に追加
「え………」
「って、ごめん。初対面の男にこんなこと言われても嫌だよね。とりあえず俺の気が済まないから送る、行こう?」
「あ、はい……」
春臣さんが立ち上がったので私も立ち上がった。だけど頭の中では今言われたことがぐるぐる巡っていて。
かわいい、私が?
元カレにけなされた過去があるから、かわいいって言ってくれる人のことが信じられない。でも、面と向かって言ってくれてすごく嬉しくて。
「どうしたの、風夏ちゃん?」
「あっ、なんでもありません!えっと、私の家はこっち方面です。春臣さんはどっちですか?」
「俺のことは気にしなくていいよ、明日は2限からだし」
「そっか、大学って取る授業によって時間帯違いますもんね」
嬉しさを誤魔化すように元気に喋り出して、結局送ってもらうことにした。その後は歩きながらどこの大学に通ってるとか、普段はどんなバイトしてるとか、そんな話を聞いた。会ったばかりだけど、彼は話し上手で聞き上手で、他愛ない会話でもとても楽しかった。
最初のコメントを投稿しよう!