307人が本棚に入れています
本棚に追加
春臣さんには案内されたのはこじんまりした洋食店だった。レンガ造りの外壁、出入口には観葉植物が置いてあって、一見カフェっぽい雰囲気のお店。ちょうどお昼時だから並んでるお客さんも多い。
「いい匂いがする……!」
そしてお店の中から食欲をそそるいい香りが漂ってくる。匂いだけですでにおいしそう。
「お腹空くね」
「ますますお腹空きました!並びましょうか」
「予約してるから大丈夫だよ」
「あ、そうでした。ありがとうございます」
暑い中待ってる人には申し訳ないけどお店のドアを開けて中に入る。するとウェイトレスの人が持っている鉄板焼きのハンバーグが目の前を通る。
おいしそう、私絶対アレにする!
席に通され、窓際のテーブル席に向かいあわせで座った。その頃には頭がハンバーグでいっぱいだったので緊張しなくて済んだ。
注文を済ませてわくわくしながら待っていると春臣さんが頬杖をついて私を見つめてきた。
「どうされました?」
「目がキラキラしてるね、そんなに今日楽しみだった?」
「はい、もちろんです!」
テンション上がって少し大きな声で返事してしまった。そんな私を見て春臣さんは優しく微笑んでくれる。
なんて綺麗な笑顔。真正面から食らって正気でいられるわけない。再び暴れ出す心臓。隠しきれないからお手洗いに行くと言ってその場を離れた。
最初のコメントを投稿しよう!