315人が本棚に入れています
本棚に追加
「え、これ春臣くんの車ですか!?」
「免許とった時に父さんが、新しい車買うからお下がりでよければって言うからもらった」
高級車をお下がり!?ちょっと待って、春臣くんの実家ってお金持ちなの?
今さらだけど、春臣くんって謎が多い!
「お、お願いします……」
恐る恐る助手席に座ると、スピーカーから聞こえてくる洋楽とふんわり香るムスクの匂い。
うわ、オシャレな人の車って感じ。高級車だから座り心地がよくて変に落ち着かない。
「今日はどこ行きたいんだっけ」
「たまごサンドとふわふわかき氷のお店です!
ここからだとサンドイッチのお店が近いです」
住む世界が違うってこういうことだろうな。スマホのナビを開きながら私は混乱していた。
「匂い、大丈夫?」
「大丈夫です、家の芳香剤も同じような匂いだから」
「そうなんだ……あ、クーラーつけてるけど寒くなったら言ってね」
「はい」
さらっと気遣いできるし、ハンドルを握る横顔がかっこよくて平常心じゃいられない。むしろクーラーガンガンにしてくれてありがたい。いろんな意味で熱が冷めないから。
最初のコメントを投稿しよう!