238人が本棚に入れています
本棚に追加
「水、冷たい?」
「ぬるいです!」
生ぬるくてあんまり気持ち良くはないけど、水面が太陽で反射してキラキラして綺麗。ずっと眺めてられそう。
「風夏ちゃん、こっち向いて」
ふと話しかけられて声のする方へ振り返る。すると波の音に乗ってカシャ、とシャター音が聞こえた。
あれ、写真撮った?
「2人で写真撮りたいって言ってたから。せっかくなら海がいいかと思って」
しかもツーショット?撮ってくれないと思ったのに。さっきの返答で嫌がられた気がしてたから嬉しくて思いっきりにやけてしまった。
「もう一枚お願いします!今度は私のスマホで撮って欲しいです」
「いいよ、こっちおいで」
なんだか夢みたいだ。元カレとできなかったこと、今日で全部叶えてもらってる気分。
いや、こんな聖人君子を元カレと比べるのは失礼だな。
「うん、いい笑顔」
「ありがとうございます」
海をバックに2人で並んで写真を撮る。付き合ってもないのにこんなに甘えさせてもらえるなんて幸せ。
わがままを最高の形で叶えてくれた春臣くん。これは好きになるのも時間の問題だな。なんて、どこか客観的に考えながら春臣くんと笑いあった。
最初のコメントを投稿しよう!