とある夏の日の出逢い

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「い、いえ。困ってる人を放っておけませんから」  その心を押さえつけて、力強く掴んでしまっていた彼の手を離した。 「そういうの優しいって言うんだよ、大半の人は素通りするはずだから」 「そう、でしょうか」 「君に話したら少し落ち着いた」 「それならよかった。では私はこれで……」  ちょっとは気晴らしになったみたい、よかった。ところが立ち上がったら後ろから「待って」と声をかけられた。 「話を聞いてくれたお礼に、今度ご飯でも行きませんか?」 え、イケメンからご飯のお誘い?予想外の展開に声が出ない。そんなことでお礼しなくていいのに。 「結構です、お気遣いなく」 「気を使ってるわけじゃないよ、本音をいうと俺が行きたい。 見ず知らずの人に相談に乗ってもらったんだからお礼くらいしないと」 「はぁ……そうですか」  すると手に持っていたスマホを私に向けた。 「とりあえず連絡先交換しない?」 「……分かりました」 イケメンだしいっか、なーんて安易な考えで連絡先を交換した。
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