村田さん

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「今日も元気いっぱいだね」  座ってきたのは、ここにいるはずのない人。 「は、春臣くん!?いったいどこから?」 「後ろのテーブル席に座ってたよ」 「そうそう、1時間前からね」  陽太さんがカウンターの向こうで「春臣はコーヒーおかわりする?」と声をかける。どうやら春臣くんと顔見知りらしい。 「……どういうご関係?」 「実は俺の叔父さんなんだ」 「そうだったんですか!?ご親戚!そういえば何となく目元が……」 親戚と言われ、陽太さんと春臣くんの目元を見比べる。なるほど、納得のかっこよさだ。 「付き合ってるって聞いた時は驚いたよ」 「はい、私もこんなイケメンが彼氏とか未だに信じられないです」 「はは、よかったね春臣」  そういえば笑顔も似てる。見比べてると「どうぞ」と陽太さんがキャラメルマキアートを渡してくれた。  これこれ、ほろ苦さの中にキャラメルの甘さがあって好きなんだよね。 「陽太さん、風夏ちゃんがおいしそうに飲むから俺もこれがいい」 「分かるよその気持ち。風夏ちゃんに飲んでもらうと僕も作りがいがある」  褒められっぱなしで照れくさい。でも、この空間は優しくてあったかい。その日は3人で話しながら楽しい時間を過ごした。
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