約束に秘めた恋心

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「お陰様で、今を卑屈に過ごさずに済みました」 不登校のまま、己と向き合うことから逃げていれば、色々なものを見落として過ごすところだった。 何より、私は私をもっと嫌いになっていただろう。 「……感謝だけか?」 少し、先生の手が緩んだ。 ようやくにして先生は私を見つめた。 あくまでも私は生徒で、先生は先生だ。 私の恋心など、それを前に曝け出すつもりは露ほどに無かったというのに、肝心なところで先生は私に委ねてくる。 緩んだ手を握り直して、私は告げた。 「待っていてくれるんでしょう?約束、ですからね」  仕掛けたのはあなた、でも、選んだのは私だ。
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