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黒猫
一匹の黒猫が存在する。
人々の寝静まった真夜中の路地裏で、僕はその黒猫に、文字通り呼び止められた。
黒猫は僕に教えてくれた。世界の果てがどこにあるのかという事を。そしてそれはどのようなものなのかという事を。
「行って、それを見てくるんだ。今度は君が。辿り着くのにどれだけかかるかわからない。何年もかかるかもしれない。それでも、行くんだ。そしてまた新たな誰かに教えるんだ。それが"さだめ"なんだよ。生まれたときからのね」
黒猫はそこまで言うと、くるりと背を向けて去っていった。角を曲がる。僕は慌てて追いかけた。当然、そこには何も存在しない。
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