美波・君との約束

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「ホームルーム始めるぞー! では、進路希望の用紙を配るからな。第三希望まで書いて提出すること!」  担任の言葉に、教室がざわついた。高三の二学期が始まって一週間後。準備はしていた。進路希望候補の夏休みオープンキャンバスは全制覇して、希望順を決めてある。住んでいる所がまあまま都会でよかった。後は紙に書いて出すだけだ。  先生には渋られる進路先かもしれないが、親の説得は済んでいる。  説得? 諦められているだけかもしれないな。回ってきた用紙に書き込みながら思う。それでも、学費を出してくれるんだからありがたいけど。 「もう書いたのか? 阿武 姫乃(あぶ ひめの)」  担任が驚いた顔をしている。 「はい。これお願いします」  そういえば、この担任なんて名前だったっけ? 田部(たべ)甲部(こうべ)か? まあいい、この体育会系顔が担任だって認識はできてるから、問題はない。 「全部……服飾系の専門学校だな」 「ええ。親も了承済みです」  勉強は真面目にしてた。と言っても成績は中の中だけど。でも、文句を言われないぐらいには頑張っていた。担任は少しの間考えて。 「阿武、君ならそこそこの大学に」 「そこそこに行ったって意味ないですから。私、自分で服が作りたいので」 「もう決めてる?」 「はい」  私が即答すると、担任は一旦進路希望用紙に目を落とし。そして。 「推薦、いるか?」  意外と好意的な言葉が出てきた。
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