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何かと思ったら、相川からメッセージが届いていた。
『今日、委員会だろ 傘持ってなかったよな』
どうして知っている。
と、不審に思ったけど、すぐに思い出した。そういえば今朝、駅の改札を出て登校している途中に偶然、相川に会ったんだった。その時に、私が傘を持っていなかったのを覚えていたのだろう。……記憶力が良いな。
『持ってない やばい』
メッセージを返すと、すぐにスマホが震える。
『おれのロッカー 3882』
「え!」
思わず大きな声が出た。さっと口元を抑えて、周囲を見回す。
頼りない蛍光灯の明かりに、かろうじて照らされる廊下には、私以外誰もいない。
これ。ロッカーの、鍵の番号ってことだよね。こんなの、人に教えていいの?
私は動揺のあまり、返事を返せずにいた。
スマホが震える。
『数学の借り 番号はあとで変えとくから 気にすんな』
「あ、そういうこと?」
それならまあ、納得できる、かも?
あの日数学の授業で、相川は予想通り、先生に指名された。私のノートのおかげで、解答を答えられないなどという、失態を犯さずに済んだのだ。
番号も変えられるみたいだし。私がそこまで気にしすぎなくて、いいのかも。
私はとりあえず、教室に向かって歩き出した。
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