LaCKiNG

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「マミは、お母さんじゃないし、ぼくたちみたいな人間じゃない」  優輝の唐突な言葉に耳を傾けるマミの表情からは何の感情も読み取れない。彼は構わず続ける。 「でも、マミは家族だよ。マミのおかげで、ぼくはひとりぼっちじゃないから! 作ってくれるごはんも、お母さんとは味はちがうけど、おいしい。だから、これからもいっしょにいてね」 「ありがとう、優輝。これからも、一緒よ」  マミは目尻を下げて答えた。人間とアンドロイド。その関係に大きな亀裂が入った世界の片隅で、彼らは言葉を交わした。  それが業務上の契約であるのか、小さな約束であるのか、もしくはそのどちらでもないのだろうか。言葉という記号の中に存在する見えないものに淡く触れながら、彼らは無駄に広い部屋で絵を描いた。白い紙の中の黒い車は無機質な翼を広げ、どこかへ飛んでいってしまいそうな気がした。
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