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撃って出た夫と舅、元服して間もない息子はおそらく呆気なく討ち死にしたことだろう。城には自分と少しの手勢しか守りに残せなかった。最初から負けを覚悟した戦であった。 (次にもしこの世に生を受けるならば、信長のように戦ってこの世を走り抜けたいのう) 咲が少女の頃は馬に乗り、弓を引き、槍を振り回したものだった。 女が武芸を嗜むことを許してくれた家に育ち、気性が勝った咲は、嫁いだあとはその機会を奪われてしまった。密かに兵衛と稽古を続けていたが、戦場に出ることは許されず、城の守りを任されてただ死んでいこうとしているのだった。 女性として生きるにはこの世はあまりにも無情だった。腕があろうが、知略に長けていようが、女性では活かされないのがほとんどだった。 咲はやるせない気持ちではあったが、死を迎えようとする心は凪のように静かだった。 「さあ、兵衛、最後の頼みじゃ。そなたに介錯も付けてやれず申し訳ないが、さあ」 父が持たせてくれた懐剣を引き抜き、喉を突く姿勢を取る。 「お方さま、御免!」 と、兵衛の声が聞こえた刹那、ドドド、っと轟音が響いた。兵衛の鋭い一撃が咲の細い首に振り下ろされる前に、城の梁が焼け落ちて2人を襲った。
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