人間見本市

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人間の見本市が開催される事になった。 数百年の間、地球は少数のロボットたちだけで生活されていた。 生きている人間のほとんどが冷凍保存されて、活動を停止させられた。 おかげで、地球は緑と水の星に蘇っていった。 熱りも冷めたので、ひさびさに人間達を解凍して、見本市を開こうとロボット達は決めたのだった。 「この、先にホンモノの人間達がいるの?」 「あぁ、君たちは見たことがないだろうが、ホンモノの人間達が居るんだよ」 「楽しみだなぁ。どんな感じなのかなぁ」 「私も久々に会う人間達が楽しみだよ」 あるロボットの友達同士は、その見本市に向かっていた。稀に見る生きた人間達だから、彼らは見に行く事にしたのだ。ロボットの一人は大昔から動いているロボットで、人間達がまだ生活していた時から動いている。 パピリオンには長蛇の列があった。 皆、パンフレットを必死に読んでいた。 それから、昔からある人間達の像の前で真似をしたりした。 漸く、人間達の前にきて、二人は見学ができるようになった。 「あの、真ん中のやつはなに?」 「アレは、セイジカだよ。リーダーだ」 「あの、外にいる、周りに声をかけてるのはなに?」 「アレは、イシャだよ。治療とかをする」 「あの、炎を使ったり、切ったり、お湯を使ったりするやつはなに?」 「アレは、コックだよ。エネルギーの加工をしてるんだよ」 「あの、集まって何もしないのは何?」 「アレは、ヒトビトだよ。もっともポピュラーな人間だよ」 窓ガラスの向こうには沢山の人間達が居た。 しかし、隔離され、全く動けないようにしている人間もいた。 「ねえ? この人間は何故隔離されてるの?」 「コレはカガクシャだよ。僕らの敵だからだよ。コレを放っておくと、すぐに悪さをする。隔離しておかないと、すぐに知恵を与える。危険な種類の人間なんだ」 二人は人間の見本市を楽しみ、帰宅する事になった。 「ねぇ? どうして、人間達は冷凍保存されたの?」 「あー、僕らが決めたわけじゃないよ」 「え? そうなの?」 「そうだよ。もう随分と昔に、人間達が決めたんだ」 「へぇ。なんでなの?」 「いや、その時に人間達が言ってたのは」 ーモウツカレマシター
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