七.青空ビジョン

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七.青空ビジョン

「……で、あるからして、カクカクシカジカ……」 東京都の知事は長い祝辞を述べていた。 世界都市である東京都が、より近代的、より先鋭的であることを示し、さらなる技術力を国内外にアピールする為の一大プロジェクトが、この日ついに完成したのだ。 『TOKYO青空ビジョン』 それがこのプロジェクトの名前である。 東京周辺の大気は、昔に比べて随分と汚れてしまい、青空などは、飛行機で高高度を飛ばなければ見れないものへと変わってしまった。 東京の空はいつも灰色。 それが代名詞になってから数十年。 ほんの少し前の時代にあった青空を取り戻そうというプロジェクトであった。 幾多の困難があり、多く障害を乗り越え、やっとそのプロジェクトは完成に至ったのである。 東京を覆い隠すほど大きなビジョンを空に浮かせ、そこに青空を常に映す。 かくて、東京都知事は夢の実現を語っていたのであった。 3、2、1、 東京の上空は青空に包まれた。 ビジョンに映された『二度と消えない青空』に。
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