真夏の一時

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洗濯機から湿った衣類を吐き出させた。 それらを両手で抱えていく バンバンと音を立てて シワを伸ばしてみる ピンチに一つ一つ丁寧に衣類を挟んでいく。 朝のベランダに出ると、登下校から解放された子供たちの声が聞こえた 大きな音が遠くで響く 夏の青空の下で 工事が続いているのだろう 蒼くて美しい空に白色が映えた 何処かで何かが起こっていても。 付けっぱなしのテレビに流れる音はこの国の戦果を讃えるニュースであった。昨年可決された法案は今日の日のためにあったのだろうか。 それとも… 私は一息をつくために 珈琲を淹れた そういえば在庫が切れたなと気づき また、買いに行こうと思った テレビニュースの向こうでは ビルへのミサイルが到達して倒壊する画が映る、 私の国が攻めたのだ。 暫くはその国のコーヒーは飲めないなと 私は諦めた。 珈琲に映る私の不満げな顔は、マドラーで混ぜたら消えた。
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