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ハイヒール政治学が世の中心になってからというもの、それぞれの政党の支持率は急上昇していた。
ハイヒール政治学はとても明快で人々を導いてくれた。
何せ、ハイヒールの色の好みで政党を選べば良いのだから、まあ簡単だ。
難しい政策など検討しなくて良い。
そんなわけで
私は針の穴にまつ毛を通している。
だから、目の前で針がチラッとするわけで、
瞬きをするのが怖い日が続いている。
そんな私の仕事は、クーラーの効いた鏡の壁の部屋で、携帯のライトが四方から私を照らしていて、その安価な照明が私の裸に光を当て、男どもが靴下を脱いで、嗅いでいるのをただ眺めるだけだ。
そんなには難しく無い。
扇風機にスイッチを入れるのとほとんど大差ない。カチッとして、ぼーっとなる
なに、何事も見た目以上に単純なものだ。
仕事からの朝帰り
ジェルネイルが剥がれかけてるのを弄りながら
パジャマ姿のまま電車に飛び乗った。
私の横に、私サイズの日本人形を座らせて
絶対的なソーシャルディスタンスを取ったわけだ。
みな、私のそばにはこない
そういうことだと、誰かが教えてくれた。
ハイヒール政治学とは
ね。
私の世界はアレから
随分と単純になった。
見た目は複雑だけどね。
電車の長椅子の下に
髭を伸ばして頭の剥げた男が寝そべってる
「なんだ、こいつ。気持ち悪い」
紅いハイヒールを履いていた
同じか、宜しくな
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