悪意

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悪意

「おい、山本。お前、俺のたばことったろ? 16本になっている。今日はまだ2本しか吸ってないなよ」 山本が目の前で、びっくりする表情をしてみせた。 「え? ごめん。お前のだったの? 知らなくてさ。すまんまん」 「なに、知らなかったなら仕方ない。今度は気をつけろよ」 山本が、目の前で手を合わせた謝っていた。 「なあ。谷本。お前のそのスマフォ、俺のじゃない?」 今度は山本が谷本に尋ねる。 「え? ほんと? あ、ほんとだ、同じ型だから気づかないもんだね。ごめんごめん」 谷本も悪気が無いことを伝えて、謝った。そのあと、谷本は山本にスマートフォンを手渡した。 手渡すときに、谷本は山本の手元の時計が気になった。 「あれ? それれってタグホイヤーの時計? お前も買ったの?」 「ん? これ? いや、買ってないよ」 「え? じゃあ、もしかして。ちょっと見せて」 「いいよ、いいよ」 谷本がよくよく検品してみたら、自分の名前が入っており、それが自分が無くしたと思っていた時計だと気づく。 「おまえ、これ俺のだよ」 「え? マジ? ごめん。知らなかったよ」 怪訝そうに谷本は山本を見る。 「まあ、気をつけろよ」 そう注意された山本はしょぼんとしたまま、下を向く。そして、何かしていないと落ち着かないので、手元に戻ってきたスマートフォンのロックを開けてTwitterを開いて適当に見る事にした。 しかしそこには、自分が投稿した記憶のない、ツイートが散見されていた。 「なあ? 谷本。お前、おれのツイッターのアカウントで変なこと呟いてるよ。うわっ酷い、なにやってんだよ!」 谷本は山本を睨みつけた。 …… ––何してるんですか?–– ––おお、良いところに。見てこれ–– ––また、ヒトで遊んでるんですか? なしてんですか?–– ––二日に一回、タニモトと、ヤマモトを入れ替える遊び。めちゃくちゃ面白いよ–– ––そういうの、辞めましょうよ。怒られますよー–– ––いいじゃん、ヒトなんだから。別に、減らないしさー–– ––変な事になると、またおっきな歴史出来事になったりするんですから。ほどほどにしてくださいよー–– ––お前は硬いなぁ。真面目かよ! あ、次これしてみよっ––
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