0人が本棚に入れています
本棚に追加
悪意
「おい、山本。お前、俺のたばことったろ? 16本になっている。今日はまだ2本しか吸ってないなよ」
山本が目の前で、びっくりする表情をしてみせた。
「え? ごめん。お前のだったの? 知らなくてさ。すまんまん」
「なに、知らなかったなら仕方ない。今度は気をつけろよ」
山本が、目の前で手を合わせた謝っていた。
「なあ。谷本。お前のそのスマフォ、俺のじゃない?」
今度は山本が谷本に尋ねる。
「え? ほんと? あ、ほんとだ、同じ型だから気づかないもんだね。ごめんごめん」
谷本も悪気が無いことを伝えて、謝った。そのあと、谷本は山本にスマートフォンを手渡した。
手渡すときに、谷本は山本の手元の時計が気になった。
「あれ? それれってタグホイヤーの時計? お前も買ったの?」
「ん? これ? いや、買ってないよ」
「え? じゃあ、もしかして。ちょっと見せて」
「いいよ、いいよ」
谷本がよくよく検品してみたら、自分の名前が入っており、それが自分が無くしたと思っていた時計だと気づく。
「おまえ、これ俺のだよ」
「え? マジ? ごめん。知らなかったよ」
怪訝そうに谷本は山本を見る。
「まあ、気をつけろよ」
そう注意された山本はしょぼんとしたまま、下を向く。そして、何かしていないと落ち着かないので、手元に戻ってきたスマートフォンのロックを開けてTwitterを開いて適当に見る事にした。
しかしそこには、自分が投稿した記憶のない、ツイートが散見されていた。
「なあ? 谷本。お前、おれのツイッターのアカウントで変なこと呟いてるよ。うわっ酷い、なにやってんだよ!」
谷本は山本を睨みつけた。
……
––何してるんですか?––
––おお、良いところに。見てこれ––
––また、ヒトで遊んでるんですか? なしてんですか?––
––二日に一回、タニモトと、ヤマモトを入れ替える遊び。めちゃくちゃ面白いよ––
––そういうの、辞めましょうよ。怒られますよー––
––いいじゃん、ヒトなんだから。別に、減らないしさー––
––変な事になると、またおっきな歴史出来事になったりするんですから。ほどほどにしてくださいよー––
––お前は硬いなぁ。真面目かよ! あ、次これしてみよっ––
最初のコメントを投稿しよう!