最終節 最期にあなたに会えてよかった。

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風花は澪田の首を思い切り絞めた。 「お前みたいな奴に何が分かる。俺の苦しみを分かったように言うな。」 「…ぐっ、やめろ。」 「やめろー!!」 道永が風花を後ろから掴んで引き離そうとしたが、風花は実体がないようで触れることが出来なかった。 「何でよ。何でこいつは澪田係長に触れてるのに私はこいつに触れないのよ!!」 バンッバンッ!!道永は真横から風花に発砲したが、やはり弾は身体をすり抜けていった。 「…なっ。」 「道永さん、その銃貸してください。」 小阪田が銃を道永から奪い取った。 「小阪田さん!駄目よ、返しなさい!何をする気?」 小阪田は銃先を自分の左腕に当てた。 「…小阪田さん。」 「これしかないの。」 小阪田は道永の静止を振り切り、引き金を引いた。バンッ!! 「小阪田さん!!」 小阪田は銃を床に落とすと、道永を退けて、風花の真上に左腕を差し出した。腕から溢れるように流れ出ている血液が風花に掛かると、小阪田は道永に「触れるはず。」と言った。 道永は、澪田の苦しむ表情を見てとりあえず風花を引き離そうと肩を掴んだ。 「…掴めた。」 「な、お前何した!?」 驚く絢川の声を無視し、道永は思い切り風花の身体を後ろに引き、澪田の首から手を離させた。 「…くっ、はぁ…はぁ…」 澪田は直ぐに立ち上がり、風花を睨み付けた。 「余計なことしやがって。傀儡の仕上げの首はこの男にしようと思ったのによ。」 カチャ。澪田と道永は前後から風花に銃を向けた。 「ハハハ、撃つのか?撃てばいい。この身体は俺の身体じゃないからな。」 「…くそ。」 「係長、どうするんですか。」 道永の問い掛けに澪田はチラリと小阪田を見ると、さっきまでいたはずの小阪田の姿はなく、ぼたぼたと廊下の先に血痕だけが続いていた。 「フハハハ、さっきの女は逃げたのか?…お遊びは終いだ。頭を貰おうか。俺がこの世を終わらせるために必要な身体を作るためだ。」 「…あの身体は風花に関係した人間たちで作られた身体だろ。」 「月見里風花の魂は俺が吸収する。一体となれば問題はない。」 絢川の言葉にカチンとした澪田は、道永に「伏せろ!」と叫び、銃弾を2発発射させた。 銃弾は風花の額を貫通し、風花はそのまま仰向けに倒れた。 「か、係長!?」 「フハハハ、撃った!撃ったな!酷い男だ。罪の無い女を撃った。」 「黙れ!お前ごときにくれてやるなら、この場で処理したほうが彼女のためだ!」 澪田は倒れている風花に再び銃を向けた。 「気が狂ったな、馬鹿が。」 「…先輩。」 「なっ!?お前まだ!?」 絢川の声と重なって、風花の声が聞こえると澪田は銃を下ろした。
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