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妻はまじまじと絵を見つめた後、視線を俺に移した。そして色素の薄い目を光らせながら首を傾げる。
その顔や仕草がほんの少しだけシロを彷彿とさせた。
「誰から頂いたの?」
2度目の同じ質問。少しだけ鈴のように澄んだ声にザラつきを感じたのはきっと気のせいだ。
「石田白ってイラストレーターを知ってる?その人から頂いたんだ」
妻は知らないと首を振った。
絵に興味のない妻だ。知らなくても仕方がない。
そんな絵に興味のない人間の目さえも惹かせるほど彼の絵は素晴らしいのだと、今立証された。
それともこの絵のモデルが素晴らしいだけなのか。
「君が絵に興味を持つなんて珍しい」
芸術に興味のない妻がこう言った才能の詰まった作品に興味を沸かせるのは滅多にない。
妻は絵を見つめたまま口角を上げる。
「あなたがまるで恋人を見るような目で見てたから気になって」
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