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ずっと胸の奥にある異物がコロコロと転がっていて気持ち悪い。
妻の笑顔に癒された事もある。
楽しい思い出も可愛いと思った事も欲情して抱き潰したこともある。
確かに愛した瞬間があるのに、ずっとずっと満たされない。
まるで喉に刺さった魚の小骨のように、気持ち悪い感情と満たされない心。
「ねぇあなた。レイトショー20:15からなんだけどさ」
妻が口を開き、レイトショーの時間を教えてくれた。
俺は妻の顔に視線を向ける。少し吊った色素の薄い茶色い目が俺を捉えていた。
「もしかして忘れてた?映画の事」
先週から約束していた映画の事を、忘れていたとは言えなかった。
「まさか。ちょっと考え事しててさ。仕事の事で」
「心ここに在らずって顔してたもんね。あなたが華麗なるギャツビー観たいって言うから観に行くのにさぁ」
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