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濡れた前髪から覗く目がべっこう飴に似ていた。
寒さで凍えた唇の色は紫に変色していて、ガチガチと歯を鳴らしていた。
見ているこっちまで寒くなる。
「寒い。助けてくれない?」
初対面の人に対して敬語ではなくタメ語の時点でどの様な人間なのか想像がつく。
非常識な男に助けを求められた俺は首を振り拒否をした。
そんな俺に男は「そう」と、諦めた様に呟き再び俯いた。
その弱々しい姿に何だか自分がとても悪い人間になった気がして後味が悪い。
だからと言ってこんな気味の悪い男と関わるのも怖い。
仕方ないと自分に言い聞かせてその場を離れようとした瞬間、ドチャリと言う音がした。
水を含んだ何かが倒れる音に嫌な予感がした。
音のした方へ視線を向けると、案の定体勢を崩した男がそこにいた。
一目瞭然で倒れたのだと分かった。
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