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廊下の壁に寄りかかり弱りきっている男はパンツ姿でグッタリしていた。
俺が用意している間に自分で脱いでいた様だ。
脱ぎ捨てられた服が男の隣でぐっしょりと重なっている。
男は俺の方に首を動かすと、紫色の唇を動かした。
「パンツ貸して欲しい。気持ち悪いんだ」
ここまで図々しい人も珍しい。
俺は断ることができず、仕方なくパンツも貸してやる事にした。と言うか返されても迷惑なのであげる事にした。
人の履いたパンツなんて洗濯したとしても履きたくない。
「下着用意するんで、バスタオルで体を拭いておいてください。あと白湯です。飲めば多少は温まると思うので」
バスタオルと白湯を男に渡し、俺は再び男の為に動いた。
お気に入りは絶対にあげたくないので、元カノから貰った熊さんが沢山描いてあるボクサーパンツを選んだ。
どぎついピンク色に白のクマさんが沢山描かれたそのデザインを男に差し出すと、弱々しい目が少し開いた。
「え、あんた趣味悪いね」
タオルを首にかけ、白湯の入った温かいマグカップを両手で持ちながら男が引いた様子でそう言って鼻で笑った。どこまでも嫌な感じの奴だ。
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