幸運で不運

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浴槽から飛び出た右腕からは赤い花が咲き誇り、花びらを散らしていた。 虫の息でカズキさんは最期に恋人の名前を呼んで、死んだ。 それを見届けたのは俺で、最期カズキさんの目に映ったのも俺で。 なのに心にシミを残して消えなかったのはお前で。 あの時に俺は誓った。 鉄臭い赤い花を見つめながら。 何を誓ったか? それはまだ教えてやらない。
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