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シロ
それは、ひどい雨の日でした。
傘をさしながらゴミ捨て場にゴミを捨てに行くと、ずぶ濡れの男が座り込んでいた。
俯いた男の前髪からは雫がポタポタと滴り落ち、寒い冬のせいで凍えた体から白い息が吐き出されている。
12月4日の早朝。黒いニットが雨を吸収しグレーのスウェットが黒ずんでいた。
ボロ雑巾の様な男の雰囲気は怪しくて俺は息を呑んだ。
持っているゴミ袋を強く握る。
捨てたくても男が邪魔で捨てられない。
声をかけるにもかけずらい。と言うか声をかけたくない。
時間をずらしてまた捨てに来るしかないか。
面倒くさいと思いながら男に背中を向けた瞬間、「ねぇ」と声をかけられた。
それが誰の声なのか分かった。
ドキッと心臓が跳ねて肩が上がる。
恐る恐る振り返ると男が顔を上げてこちらを見ていた。
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