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混雑している地元の大型ショッピングモールで、偶然君に会ったのが今から数ヶ月前。
「私、この人と結婚することにしたんだ」
数年ぶりに会った君は婚約者の男性と一緒に歩いていて、そう言って照れくさそうに紹介してくれたよね。
最初に声をかけられた時、名乗られるまで誰だか分からなかったのはここだけの話。
「へぇ、そうなんだ。それはおめでとう。末長くお幸せに」
この時の言葉は本心だった。幸せそうな君の顔を見て、心からそう思ったんだ。
実家に帰ってそのことを母親に話すと「あぁ、幼稚園児だった頃にアンタと結婚するって言っていた菜緒ちゃんね」って言われてさ。
あの時は、飲んでいたコーヒーを吹き出しそうになったよ。昔のアルバムまで引っ張り出されて、すっかり忘れていたあの日の約束を思い出したんだ。
成長するにつれ俺達は疎遠になっていたし、今となっては微笑ましい出来事の1つ。
だったはずなのに――…
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