覚醒

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君の生活パターンは大体把握してる。 どんな感じだったら不自然じゃなく会えるかな。怖がらせてしまっては本末転倒だから、絶対にタイミングを間違えるわけにはいかないんだ。 ノートパソコンを開きつつそんなことを思っていると、道路に面している方角からトントンとガラスを叩く音が聞こえた。 仕事後マンション近くのカフェに寄り、窓際のこの席でホットコーヒーを飲みながらパソコンを眺めるのが、引っ越して来てからの俺の日課。 この時ばかりは目を疑った。まさか、君から俺に近付いて来てくれるなんて――… 運命的な出会いだと思ってもらえる方法をずっと考えていたのに、俺の方がそう思わされちゃったじゃないか。 マフラーをぐるぐる巻いて笑ってくれた顔も可愛いけど、俺の前では無理して笑わなくて大丈夫だよ。 向かいの席を指差してみると、君が中に入って来てくれたので俺はノートパソコンを急いで片付けた。
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