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ND錠
俺は家に帰り
寝室のタンスをガサガサと漁っていた
カツマタからもらった睡眠薬
「ND錠」
を探しているのだ
確かここに入れたんだけどな…
ここだっけか…
違う、あれどこだっけ…
あった!こいつだこいつ
白い錠剤を手に取る
その錠剤にはNDと黒文字で薄く
印刷されていた。
これを今晩試して
ぐっすり眠れるか試してやろう
ただ問題は果たして何錠飲めば良いのだろう
勿論説明書も手元には無いから
調べようがない。
ん…調べようがない?
いや、調べられる
携帯の検索を使えば今の時代なら簡単に
ヒットするはずだ。
うまく行けば何錠飲むのか分かる
手元に置いていたスマホを取って
認証画面を突破した。
検索エンジンに
「ND錠 一回 服薬量」
といかにも検索に引っ掛かりそうなワードを
散りばめ、検索ボタンを押した。
するとそこには
「不適切なワードがある為検索出来ません」
と目を疑う文が表示された。
不適切なワード?
一体さっきの検索文にどこが不適切だと?
脳をフル回転させて
何か駄目だったのか考える
服薬量か?このどこに不適切な成分が含まれているんだ?
逆に一回が駄目なのか?いや一回は普通の言葉でよく検索にも使われるはずだ。
となると…ND錠が不適切
一つの結論が脳内で出てきた。
そうとなれば…
俺はまたスマホの検索サイトを開き
今度は
「ND錠」
とだけ入れた。
表示されたのは
「不適切なワードがある為検索出来ません」
ビンゴ!やっぱりそうか
いや納得してどうする
なぜこのND錠が不適切なワードなんだ?
もしかしてこの薬本当に気をつけないと
痛い目見るやつなのか?
いや…たかが薬だろ
ここでビビってしまったら
カツマタと同じ
小心者になる。
小心者にはなりたくない
大丈夫…大丈夫
これをとにかく飲めば不眠は解決される
やつもそうやってきたんだ
俺は自分で暗示をかけるかの様に
何度もその言葉を反芻した。
そして来る夜
俺はND錠を
手に取り飲む決心を固めていた。
ただ何錠出すかを迷っているだけだった。
普通に考えれば2錠辺りが妥当なんだろうけど
その2錠ですら今の俺にとっては
恐怖の数字に感じる。
やっぱりここは様子見という意味も込めて
1錠にするか
やっとの思いで答えを出した俺は
ND錠を1錠取り出し
口の中に放り投げて
水で一気に流し込んだ。
同時に不安材料も水で一気に流れて行ったような気もした。
飲んだ後は
寝室のベッドで布団に入り
スマホを弄って眠気が来るのを待っていた
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