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とりあえず想い浮かぶ限りの称賛の言葉を並び立てていたわけだが、どうやら私のちっぽけな語彙力は姫さまの素晴らしさを表すには随分と足りていないらしい。はあ、もっと勉強して、この素晴らしさを表現する言葉を学びたいなぁ。
「すみません。とにかく、姫さまのような人の近くに私なんかがいたら、誰かが怒って唾をかけてくるんじゃないかって思って」
「まあ、そんなこと!」
姫さまは私のあまりにも馬鹿馬鹿しい懸念を聞くと、驚いたように目を丸めた。それから、口元に手を当てて小さく笑う。
こんな所作まで、姫さまはとても美しくて上品だ。
「ふふ、おかしなことを考えるのね、リアスは。でもそんなことないわ、大丈夫よ。自信を持ちなさい」
「そうでしょうか?」
「ええ、そうよ。だってあなたは、私が選んだ騎士さまなんだから」
「……姫さまにそう言われると、なんだか大丈夫な気がしてきました!」
私はグッと両手を握り、胸を張った。
姫さまはすごい。私の小さな不安なんか、簡単に吹き飛ばしてくれる。いつだってそうだ。まるで魔法でも使っているみたいだった。
「そう? よかったわ。さあ、到着までもう少しの辛抱よ」
「辛抱なんてとんでもない! 姫さまがいるだけでとても楽しいです!」
「……はあ。本当に変わった子ね、あなた」
私の脳天気なセリフを聞くと、姫さまはすっかり調子が狂った様子で、ぷいっとまた窓の外を向いてしまった。
「あ、あれ?」
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