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やがて、王都のメインストリートを更に進むことしばらく、私たちはついに目的の場所へと到着した。馬車がゆっくりと停止し、扉が外から開かれる。
すると、眩い煌きを放つ豪奢な皇宮と、緑豊かな宮廷広場が私たちを出迎えた。皇宮へと続く大理石の一本道には、ズラリとメルキセド皇立騎士団の面々が居並び、私たちの行手を示している。翼の生えた蛇の紋様が描かれた皇家の御旗がいくつもたなびき、それを掲げる騎手達は輪を描くように馬車の周りを旋回していた。
「シルフィリディア・スライン・メルクリウス皇女殿下、ご到着〜!!」
道の真ん中に立つ、際服に身を包んだ儀典官が大声で告げる。それと同時に、一糸乱れぬ統合された動きで、列をなした騎士達が一斉に剣を掲げた。アーチを作るように、その剣先は空を向いている。
圧巻の光景に、私が息を飲んで固まっていると、向かいに座った姫さまが私のひざを細い指でつついてきた。
「ほら、リアス。私をエスコートして」
いつになく真面目な表情で、彼女はそう催促してくる。
「ひ、ひゃい!」
緊張のあまり、思わず上擦った声で答えてしまった。姫さまは何も言わなかったものの、今の私の無様な反応を目にしただけでも先が思いやられるような気持ちになったに違いない。というか、何を隠そう、私自身が一番不安を感じている。
うう、本当に大丈夫かな。
私は段差につまずいてしまわないように注意しながらも、急いで馬車を降りた。それから、大勢に囲まれて注目されているという状況に目を回しそうになりつつも、振り返って姫さまに手を差し出す。と、それに応えるように、姫さまが私の手を取り、ゆっくりと席から立ち上がった。
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