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「ええ。もちろん、万事整っております。既に他の皇女殿下方もお着きになられ、国王陛下もシルフィリディア様の謁見を大変心待ちにされているそうで」
「そう。お姉さま達もいらしているのね」
姫さまは、少し思うところがあるような表情でそう言うと、次に、儀典官の両脇に控える二人の騎士に顔を向けた。
「あなた達も変わりなさそうね。アロセリア、ラゴン」
姫さまがそう告げると、二人の騎士は胸の前に拳を当てて敬礼する。
「はっ、勿体なきお言葉にございます」
アロセリアと呼ばれたエルフの女騎士が厳粛な口調で言った。
「シルフィ様の方こそ、随分と大きくなられましたな」
対して、馴れ馴れしくそんなことをのたまってくるのは、ラゴンというドワーフの方だ。彼らの表情を見る限り、この二人と姫さまはある程度親しい間柄にあるようだ。一体どういう関係なのだろうか。何より、姫さまのことを愛称である「シルフィ」の名前で呼んでいる辺りは、このドワーフの男、いくら旧知の仲であったとしても、少々失礼ではないだろうか。
「して、シルフィリディア様。失礼ながら、そちらの御仁は? まだ子供のようにも見受けられますが」
私が頭の中で無用な勘ぐりを入れてケチをつけていたところ、アロセリアがこちらに胡乱な視線を向けながら、姫さまに尋ねた。話題の的となった私は、慌てて背筋を伸ばし、姿勢を正す。
「ああ、そうね。あなた達と会わせるのははじめてになるかしら」
姫さまはアロセリアの問いに頷くと、私の手を握ったまま紹介してくる。
「こちらはリアス。私の側近を務める騎士よ」
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