天(そら)から天使が落(堕)ちてきた

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月の光が開いた箱に吸い込まれ、青白く輝きを放っている。 「月海、まだまだ、俺は修業中で給料は安いし、時間も不規則、休みもままならないから月海に負担をかけることになると思う」 「だけど月海といると何でもできる気がするんだ。やってやれないことは何もないって思わせてくれる。月海を幸せにするとは言えない、でも、一緒に幸せになろうって思ってる。だから、俺と、俺と結婚してくれませんか・・いや、俺と結婚して欲しいです・・違うっ!俺と結婚して下さいっ!!」 海斗は目を閉じ開いた濃紺の小さな箱を両手で差し出した。 プラチナ台の中央にダイヤモンド、両脇に小さく海斗の誕生石シトリンと私の誕生石タンザナイトが天使の羽根の様に配置された指輪だった。 月の光が指輪の輝きを引き立てる。 差し出した海斗の両手は小刻みに震えていた。 視界が膨張する。 今まで、将来の話しをしたことはなかった。 お互い仕事が中心の生活で付き合う時も会えない時間の方が多いだろうと納得ずくだった。 それでも、少しの時間でも会えば、いつも笑っていた。 見た目はチャラく、人当たりがよい事もあり誤解をされる海斗に私の周囲は不安の声が多かった。 でも、実は誠実で一途、曲がった事が嫌いな本来の海斗を知ると掌を返す様に扱いが変わった。 私も私の周囲にも気を配り過ぎる位で、疲れやしないかと心配したほどだ。 それでも将来どうしていこうと話したことはなかった。 だから海斗が私とこの先も一緒に幸せになろうと思っているなんて想像もしていなかった。 胸の奥から熱いものがこみ上げてくる。 両手を結び口唇にあて、胸からこみ上げる熱いものを抑えるのに必死だった。
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