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「言ったでしょ。人に勧められるがまま、お酒は飲んだらダメだよって。」
「俺、そんなに飲んだっけ?」
「量はそんなに飲んでないけど、俺が勧めたのは甘くて飲みやすい、度数が高いカクテルだからね。だから酔いが回るのは早かったと思うよ。」
「何でそんなことするんだよ。俺強くないって言ったじゃん。」
「だからだよ。覚えてる?勧められるがまま飲んで、持ち帰られても文句は言えないよって言ったの。」
記憶が少し曖昧であるその辺りの会話を掘り起こし、そんなことを言ってた気がするなと少しだけ思い出す。
「でも男同士だろ。持ち帰ってどうするんだよ。」
「ミキちゃん、本当に覚えてないんだね。」
そんな意味深な発言に俺は首をかしげることしか出来ない。
カンタは一体何の話をしているのだろうか。
「ミキちゃん。あんまり無防備な姿を晒したらダメだよ。」
カンタはそう言いながら俺の傍まで来て、ベッドに腰掛けた。
何となく緊張する空気に俺は身動きが取れず、俺の手をそっと握るカンタの手にもされるがままになる。
そこで、自分の着ている服がスーツではないことに気づく。
明らかに袖があまりまくっている服はそれなりに大きく、カンタの服であることは直ぐに察しがついた。
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