第一話 あの日の約束

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「ミキちゃん。」 先にご飯を食べたと言うカンタは手持ち無沙汰なのか、俺の向かいに座って俺が食べる姿を眺めていた。 そんなカンタが(おもむろ)に名前を呼ぶので、ご飯を口に運びながら返事の代わりにカンタに視線を向ける。 真っ直ぐ俺を見つめているカンタと目が合った。 「俺と付き合わない?」 「ゲホッ、」 あまりに唐突な言葉に俺はのどを詰まらせかけて咳き込む。 「大丈夫?」 「お前、何訳わかんないこと言ってんだよ。俺たち男同士だぞ。」 「うん、知ってる。でも俺は本気だよ。ミキちゃんが好き。昔からずっと。」 「はぁ?お前、そっち系だったの?」 「多分違うと思うけど、分からない。ミキちゃん以外に好きになったことがないから。」 「分からないって、今までに彼女ぐらいいたんじゃないの?」 「いたことないよ。ミキちゃん以外に興味ないもん。」 「でも童貞ではないだろ?」 「誰ともしたことないよ。言ってるでしょ、興味ないって。」 真っ直ぐな瞳を細め、片肘で頬杖をついて笑みを浮かべるカンタは、嘘をついているようには見えない。 それに男であるならばそんな嘘をつくはずがない。 童貞は処女のように守り抜くものではなく、捨てるものというのが一般的な認識だ。
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