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「ただ会うだけでいいなら、何で告白するんだよ。友達としていれば別に遊べるじゃん。」
「それは、好きだって自由に伝えたいから。可愛いって言うのも我慢出来ないと思うし、好きって言わないのも我慢出来ないと思うから。答えてもらえなくてもいいから、俺が伝えられる関係になりたいから。」
「そんなのカンタが苦しいだけじゃん。俺にこだわらなくても、お前どうせモテるんだろうから、適当に女の子と付き合ってみればいいのに。思い込みかもしれないだろ。」
「無理だよ。俺はミキちゃん以外好きになれない。そうじゃなきゃ、こんな歳まで誰とも付き合ったことないなんてことにはならないよ。」
カンタの言い分は確かに分からなくはない。
俺たちももう30を超え、いい歳になりつつある。
親の小言も多くなってきたし、昨日の合コンだってもうそろそろ身を固めようかという同僚たちの間で話して決めた、8割本気の合コンだ。
俺は女の子の苦手意識が取れないから現実から目を背けているが、同年代の奴らはもうほぼ身を固めているし、独身の奴らも結婚に向けて行動を始めている。
カンタのこの抜群のスタイルと、大人びた少し色気のある顔、そしてこの話しやすさを考えれば、今まで誰とも付き合ったことがないというのは、カンタが俺以外に興味がないという何よりの証拠のようにも思える。
そうでなければ世の女の子たちがこんな良物件を放っておくはずがない。
「そうは言われても、分かったとは言えないよ。俺は男をそういう目で見たことがないから、分からない。」
「だよね。ごめんね、困らせて。じゃあさ、付き合わなくてもいいから、俺と昔みたいに会ってくれる?絶対に手は出さないし嫌な思いもさせないから。飲みに行くだけでもいい。次からは今回みたいに潰したりしないから。」
「まぁ、それぐらいなら別にいいけど。でもお前はそれでいいわけ?俺はカンタの想いには応えられないけど。」
「大丈夫。会えるだけで俺は嬉しいから。ごめんね、ご飯食べてる手止めさせて。早く食べて薬飲みなよ。」
そう言ってやっと俺の手を離してくれ、俺は言われるがままご飯を口に運ぶ。
こんなよく分からない関係を許していいのだろうか。
カンタはそれで構わないと言うが、苦しくないのだろうか。
かといって応えられるわけでもないのだが、さっぱり関係を切ってあげたほうが、カンタの為になるのではないだろうか。
それが分かっていても、それを少し嫌に思う自分がいた。
カンタとまた遊びたいと思っているから、関係を切りたくなかった。
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