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「ミキちゃんは優しいよね。」
「何で?」
「だって、一言も気持ち悪いとか言わないから。関係を切られてもおかしくないのに、俺の我が侭に付き合ってくれるから。」
「まぁ、そりゃ純粋に告白されたら、そんな無碍には扱えないだろ。別にカンタのことが嫌いなわけじゃないし、俺も飲みに行きたいなぐらいは思うから。ただし、俺に何かしようとした時は絶交だ。」
「しないよ。絶対にしない。神に誓ってもいいよ。だから、毎朝一緒に電車に乗ってもいい?迎えに行く。」
「分かったよ。でも俺はその電車賃は負担しないぞ。」
「そんなのいいよ。俺がミキちゃんを守りたいだけだから。安いもんだよ。」
カンタはとても嬉しそうであり、ご主人様に褒められて耳を垂らしている犬みたいに幸せそうだ。
そんな風に見えてしまうせいか、カンタに好意を向けられることに不思議と嫌な気はしなかった。
その日はすることがなかったこともあり、体調が回復するまでカンタの家にお邪魔していた。
空白の期間がなかったかのように、俺たちは子供に戻った感覚で遊んだ。
それから、俺たちは仕事の日は毎日顔を合わすようになった。
ただ苦痛だった通勤時間はカンタのおかげで楽しい時間になった。
毎日他愛もない話をしながら同じ駅でおり、各々の職場へと分かれていく。
時には休みの日にも遊びに出かけ、昔のように色んなことをして遊んだ。
俺たちの関係がもっともっと深くなっていったのは、また別の話。
ただ、カンタといる時間は昔と同じようにとても楽しい。
子供の頃のように、一緒にいたいがためにプロポーズを受けてしまいそうなほど、とても楽しい日々だった。
to be continued…
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