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「ねぇこの後予定ある?飲みに行かない?」
「あぁ、また今度でいい?終電逃しちゃうから。連絡先は教えるし。」
「タクシー代ぐらいなら俺が出すよ。だから、ね?お願い。ここで出会ったのも何かの運命だしさ。これ逃したらもう会えなくなりそうじゃん。」
「だから連絡先教えるって。今日じゃなくてもいいじゃん。俺、酒にあんまり強くないから。さっきまで飲んでたし、自力で帰れるうちに帰りたいんだよ。」
「俺が責任持って送るから。ソフトドリンクでもいいからさ。お願い。ちょっとだけでもいいから。」
何をそんなに必死になっているのか分からないが、カンタは懇願するように手を顔の前に合わせて硬く目を瞑った。
正直合コンよりも厄介だと思ってしまったが、懐かしい友人でもあるので、俺はその誘いに乗ることにした。
どうせ明日は休日で、することがあるわけでもない。
ただ終電に間に合わせようとしていただけなので、時にはこんなイレギュラーを楽しもうと思ったのだ。
カンタの提案でデートにでも使いそうなオシャレなバルに案内され、カウンターに並んでカンタおすすめのお肉を食べる。
それは今まで食べてきたどのお肉よりも美味しく、頬が緩むのを止められないほど美味しい料理に俺の口は饒舌になっていく。
カンタも久々の再会を楽しんでいるのか、俺たちは今までの時間を埋めるように話し込んでいた。
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