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エピソード1
山と言っても険しい山は苦手です。ケーブルカーで谷川岳に登るのがせいぜいだった私。あ、でも筑波山は登るのはケーブルカーでしたが、下りは歩いて降りることができました。記憶に残る山歩きはそのくらいでしょうか。
おっと、忘れるところでした。申し訳ありません。高尾山で飲む生ビールは最高です。リフトを降りたところにはビアホールがありましたが、お客さんがいっぱいで入れず、外で飲みました。新宿方面の光景を眺めながら。
ところで山にまで来て缶ビールを飲もうというせこい人間を見かけました。山と言ったらジョッキの生ビールに限るでしょう。でも、それもリフトやケーブルカーで登れる山に限りますけどね。
本題に入るのを忘れました。自分は、これまで真面目に会社勤めをしてきましたが、急にどうしようもない悲しみに襲われてしまったんです。一度芽生えたその悲しみは日々むくむくと育っていく一方でした。
ある日、私は決意しました。
本当は、自分は、一人になりたいのではないか、と。
人生は短い。やってみるのなら今です。
でも、東京を離れることだけはどうしてもできなかった。なので、「奥多摩」と呼ばれるおよそ東京の気配はなくとも、1時間で新宿に到達できる山の中に、一時的に、住むようになったのです。廃屋と言っては失礼ですが、これまでのマンションに比べたら本当に小さな家です。
さすがに電気・ガス・水道はあります。
そこまで原始人にはなれません。
でも、鳥の声で目覚める朝の清々しさは何ものにも代えられないでしょう。
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