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今まで彼女は絶対私だけって思い続けていたけど……。もうキツイよ、右京……。
涙を拭った後に、人目を憚ることなくそのまま唇と唇を交わした。涙がまた頬に跡を残した。私の心の奥深くに、右京という感情を置き去りにする。右京のキスはずるい。何も言えなくなっていく……。
バイト先に、新しいバイトの女の子が入ってきた。ショートボブで目がクリッとしたかわいい感じの女の子、北見ちゃん。嫌な予感的中。右京のターゲットとなった。
だからと言って、私に対する態度が変わることはなかった。それは北見ちゃんの前でも同じだった。
でも、聞いてしまった。休憩室での二人の会話を……。
「右京さん、彼女いるんですか〜?」
「どう思う?」
「え〜、絶対いますよね」
「どうだろうねぇ」
「はぐらかさないで下さいよ〜」
「ハハッ、何でそんなに気になるの?」
「え……、いや別に、なんとなくです」
「ふ〜ん……」
「……え」
「北見ちゃんの髪柔らかいね。俺も柔らかいんだよね、触ってみる?」
「え……、あ、柔らかいです……」
「髪、いい香りがする」
「右京さん……」
「ねぇ、俺の彼女になりなよ」
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